『大鏡』第三 伊尹伝より
行成ネタその参 和歌の事
この大納言行成さまは何事もそつなくこなしてしまえる多才な方なのですが、和歌だけは少々苦手とされていたようです。
ある日、清涼殿にて和歌について論議しようという事になりました。
和歌に熱心な方々が、どのように歌のやり取りをするのがよいかなどと、まぁ歌についての話題以外、話にのぼらない有り様だったのですが、行成さまは黙り込んだまま何も言いません。
同席していた方が、どうしたのだろう?と思い
「難波津に咲くやこの花冬籠り・・・・行成殿はこの歌をどう思われますか?」
そう行成さまに話を振ったのです。
行成さまはしばらくの間、何も言わず、ひどく考え込んでいるようなそぶりをして
「さぁ、よくわかりません」
とだけ答えたので、その場にいた人達はみんな大笑いしてすっかり座がしらけてしまい、和歌論議の方はそれっきりになってしまいました。
~~~~~~〈以下解説?〉~~~~~~
行成は和歌が苦手というのは『枕草子』でもありました。
何首か和歌を残していますが、和歌が得意だった祖父の伊尹や父親の義孝に比べれば圧倒的に少ないです。
必要ならそれなりに詠むが、それだけ、って感じなのでしょうかね。
↓↓以下妄想↓↓
どこでどう間違えたか歌論議の中に混じってしまった行成。
口を挟むのも面倒なので黙りを決め込んでいたら、
余計なお節介野郎が行成さまに話を振りました。
俺に話を振るなボケ、ぐらいは思ったかもしれません。
案外その方、
行成が和歌が得意で無いことを承知でわざわざ話を振ったのかも。
和歌論議ですから、
構成メンバーに公任さんいたかもしれません。
というか、話振ったの公任さんだったりしてw
「難波津に咲くやこの花冬籠もり今ははるべと咲くや木の花」は
古今集仮名序に手習いに最初に書く歌とあるように、
誰もが知ってる歌で、
ちょくちょく古今集の書写を頼まれる行成が知らぬはずがありません。
そういう歌であえて話を振るあたり、
行成をバカにしてるか嫌がらせだったんじゃじゃないかなと勘ぐっってしまいます。
何かみんなを感心させるようなことを言わなくてはと、頭をひねりますが
もともと和歌得意じゃないですからねぇ~
結局、いい話も思い浮かばないんで、
下手なことを言うよりは…と思ったのでしょう。
「え知らじ」と一言。
大爆笑の渦‥‥
しかし、
和歌論議を続けるような雰囲気ではなくなってしまったので結局おひらきに。
実は場をブチ壊すため&意趣返しとしてあえて興ざめ発言したのかもしれません(´ー`)
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