『江談抄』(二七)より
行成大納言、堅固の物忌を為すといへども、召しに依り参内する事
行成大納言が蔵人頭だった時のことです。
厳重に物忌みをしなくてはならない日だったので自宅に籠もっていたところ、宮中より大事な用があるからとお召しがありました。
行成は参内すると、内裏で急に気分が悪くなったのです。
恐ろしく思いながらも清涼殿に参上しました。
主上はすぐに様子がおかしいのに気付き、
「誰だ、あれは」
声をあげて仰せになります。
するとすぐに、主上の声に応じて
「朝成である」
と声が返ってきました。
主上は行成に取り憑いた物の怪が御簾内に入って来れぬようにし、
行成は主上のお側近くに参って物の怪から逃れたと聞いています。
これはつまり、行成の祖父一条大将伊尹と朝成が大納言職をめぐって敵対したことから、孫である行成に祟ろうとしたのであろうとのことです。
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